高次脳機能障害
高次脳機能障害とは、交通事故などの際に激しい衝撃によって脳が揺さぶられ、脳の神経線維が千切れることで発症する傷病です。
脳の機能には、視覚や聴覚などでとらえた情報を脳に伝えたり、脳の指令をからだの各部に伝えたりする「一次的機能」と、送られてきた情報を処理したり判断したりする「高次脳機能」とがあります。ところが、脳の損傷により脳細胞同士をつなぐネットワークが切断されてしまうと、高次脳機能に支障が生じてしまうのです。
高次脳機能障害の大きな問題は、日ごろの生活に支障がないことも多く、「事故のショックで変わってしまったのかな。」という程度に受け止められ、病気が見落とされてしまいがちなことです。
しかし、高次脳機能障害は脳の器質的損傷による精神障害であり、心因性のPTSDなどとは明確に異なる障害です。
事故後、少しでも気になる点がある場合は、専門医を受診してください。
高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害の症状としては、物忘れがひどくなる、新しいことが覚えられなくなる、一度に複数のことができなくなる、怒りっぽくなる、感情をコントロールできなくなる、などがあります。
高次脳機能障害の認定基準
1級1号 (要介護) |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
2級1号 (要介護) |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3級3号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
5級2号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級4号 | 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することが出来る労務が相当な程度に制限されるもの |
高次脳機能障害の留意点
高次脳機能障害は、「体調が良くないだけでは?」などと気に留めずに見過ごしてしまうことがあります。その場合、本来受けられる補償が受けられなくなりますので、少しでも気になる点がある場合は、専門医を受診してください。
また、高次脳機能障害は、一見すると何の問題もなく、日常生活を送っているように見えることがあるため、後遺障害の認定基準を満たすことを証明するのが難しい障害でもあります。
高次脳機能障害の可能性がある場合には、この分野で経験の豊富な医療機関、弁護士事務所にご相談されることをお勧めいたします。