死亡事故の逸失利益
交通事故被害者の方が、生きていれば得られたであろう将来の収入の推計を、死亡事故の逸失利益と言います。
死亡事故の逸失利益の算出方法は以下の通りになります。
死亡事故の逸失利益の算出方法
逸失利益=
基礎収入(年収)×(1-生活費控除率)×(就労可能年数に対するライプニッツ係数)
(1)基礎収入について
基礎収入の算出は、被害者の職業によって算出方法が異なります。
①有職者(収入を証明できる場合)
原則として交通事故前年の年収を基礎として算出。ただし、30歳未満の場合には、全年齢平均の賃金センサスを用いるのが原則です。税金は控除しないのが原則です。
②収入を証明できない人(求職者、主婦など)
賃金センサスを基準に基礎収入を算出します。家事従事者は、女性労働者の全年齢平均賃金に基づいた額を基礎とします。
③無職者(幼児、18歳未満の学生、高齢者など)
賃金センサスの全年齢平均賃金を用いる場合が多いですが、就労可能性があるのか等も踏まえて判断されます。
(2)生活費控除率について
生活費控除とは、被害者の方が生きていた場合に支出していたはずの生活費を、収入から控除するというものです。被害者の方の生活状況や扶養者の数などによって異なります。主な裁判基準は以下のとおりです。
①一家の支柱……被扶養者1人の場合は40%。2人以上の場合は30%
②女性(主婦、独身、幼児等)……30%
③男性(独身、幼児等)……50%
(3)就労可能年数について
就労可能年数に対するライプニッツ係数(または新ホフマン係数)は、原則として、67歳までを就労可能年数としています。
67歳を超える方については、厚生労働省の簡易生命表が定める平均余命の2分の1を就労可能年数とします。また、67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる方については、平均余命の2分の1が就労可能年数になります。